2005年KETG(韓国英語教師の会, Korean English Teachers' Group) 大会

池田 真澄

 今年度のKETG大会は、韓国南西部の都市光州(Kwan-ju)で、7月23〜25日に行なわれました。ここは1980年学生市民が蜂起し、多数の生命を失いながらも朴独裁政権を打倒し,民主主義を勝ち取った光州事件の舞台です。しかも大会の会場は,その時に学生が蜂起した起点である全南(Chon-nam)大学なのです! KETGのパク・バルジンさんは、この大学の卒業生で、何とこの学生自治会の副委員長だったといいます。
 今年は新英研から長崎の緒方智子さんと池田真澄が参加しました。日本の「特別講義」として、200人以上の参加者に緒方さんが「集団づくり」について報告しました。持ち前のにこやかでエナジェティックな緒方さんの報告と授業DVDは、韓国の参加者にも好評でDVDも韓国にプレゼントすることになりました(緒方さんの報告内容は、「新英語教育」3月号巻頭論文を基本にしたものです)。
 今年のKETG大会のテーマはEMC ( English Class Management ) =英語の授業経営です。このテーマが選ばれたのは、韓国の英語の授業がやりにくくなっているからだということができます。いじめや授業中の私語,携帯電話を使う、居眠りする、といった問題が例外的ではなくなっている実態を反映しています。韓国の教育部(日本の文科省に当たる)が実施している教育課程の矛盾の現れです。コミュニケーション重視の授業を行ないキャンディで生徒をつったりしても長続きはしません。またゲームは喜んでも英語の興味につながらない場合もあります。教育部は"Teaching English Through English"(略称TETE )の看板を下ろそうとはせず、英語を外国語として学ぶ韓国の子どもたちに労苦を与えています。
 今大会の特徴は、第1に小学校の教師を対象にした講座が設けられたことです。KETGは小学校への英語教育導入を批判してきましたが、教室に英語が入ってから今年で8年目を迎え、小学校の先生を含めた研究実践が必要になってきたからでしょう。このために2日目から小中高に別れての講座とワークショップが行なわれました。第2に以前は大学教授から講義を受ける形式が多かったのですが、現在は現場で授業を持つ教師が支部の研究に基づいて講座を行うことが中心となっています。
 夜は文化行事のパンソリ。太鼓や鉦に合わせて1人の人が物語と歌を演じます。本当は数時間もかかるもののようですが,丁寧な解説と実演を見せてもらいました。もう一晩は「地域教師の夕べ」で、地方支部がそれぞれの出し物を披露します。私も混ぜてもらい、楽しく過ごしました。
 次は、ある2年目の参加者の感想です。「私は2回目の参加です。他の研修にもいろいろ出ましたが、KETGのが1番現場にぴったり来る.困ったことは相談できるし、みんなで一緒に授業案をつくっていると元気になれます。また来年も参加します」